算数の授業。ミニ黒板を掲げる3年生のこどもたち。
ちなみに壁の向こうは幼稚園の教室になっています。
学校紹介① ”San Jose Obrero”
まずは中心地の分校的存在、サン・ホセ・オブレロ小学校から。
そして、ほぼ毎日通っていた時期もあり、特に力を入れているところです。
なぜなら、、、今まで全くと言っていいほど活動を行っていなかったからです。。
理由は2つあります。
1つは、この学校で公開授業が行われなかった(できなかった)ということ。
もう1つは単純にオフィスから遠いということ。
2つ目については、CPが30分近くかけて歩くのいやがったためで、往復を考えると気持ちは分からないでもありませんがそこは!ガンバリどころです。わざわざ来てくれている感が出るので、歩いてでもいくメリットは大いにあると考えていましたが。
ちなみに先生方はその半分の距離でもバイクタクシー1~2Bs.(10円~20円ぐらい)を利用しています。たまに遅刻しそうな子どもたちも普通に気軽に利用していて、途上国という定義付けの難しさを感じます。
1つ目の理由についてはまだ4周年と歴史が浅く、分校という位置づけからかほとんどが経験の浅い若い先生(20~30代)で占められているということ。校舎も大き目の部屋を2学年でシェアしていたり、外付けの仮設校舎(小屋)のようなところで勉強をしています。当然となりのクラスの声は丸聞こえ。がったがたでぼっこぼこの地面にブロックを敷き、隙間を段ボールでふさいでいるような青空教室っぷり。だからまだ見せられるような授業はできない。
「 条件が悪いから授業はできない、、、 」
日本的な発想だったら、その悪いなりにできる工夫を探そう!という思考になると思いますが、、でも、これで同じ公立校か、、というほどハード面でもソフト面でも差があるのもまた、事実です。
市長の構想では、中心地の公立校の人数を分散させるという目的もあり施設の充実・拡大を進めています。現在は現政権の援助で、2階建ての新校舎が建設されています。なぜあの広い敷地に2階建てなのか、役場の出納には超厳格(厳罰)でもなぜ入札無しで業者を選び工事が進められているのか、疑問は多々ありますが、、子どもたちと先生方は新しい校舎に希望を見出しています。願わくば子どもたちの前で堂々と語れるような透明さと誠実さが欲しいところです。
さて、
赴任当初は、研究授業のお知らせ待ちだったわけで、ほとんど訪れる機会はありませんでした。幼稚園と英語の授業を1回ずつ。それゆえ学級経営分科会が始動してからは、今までの遅れを取り戻すべく重点的に支援を行っています。
現在は、毎週火曜日(と金曜日)定期的に巡回を続けています。
なぜなら、その日は”算数”があるからです。
数学というものはすごいもので、言語を越えた普遍性というものがあります。
何語をしゃべっていようと、「1+1」という式には共通の答え「2」があります。
掛け算の思考法が逆だったり、割り算の筆算の仕方がちがったり、答えの証明法が独特だったり、もしますけど、そこには絶対普遍の共通原理があるわけです。ですから他の教科に比べて比較的、というか断然支援しやすいのです。
学級経営的な取り組みを通して、まずクラスの子どもたちとも馴染むこと。算数の理解状況の把握、副担任的に支援、授業の助言、教具・指導法の紹介、模範(一つの例としての)授業というように段階を追って技術支援を行っています。この流れは基本的に他校のパイロットクラスでも同じです。
このクラスのサラ先生は落ち着いた感じのしっとりした授業が持ち味です。紹介した教具を取り入れて実践してくれたり、自分なりの工夫が見られるところが良いです。写真のミニ黒板ですが、生活指導のチェック表の記入欄に「セロテープを貼ると、水性マジックで書いたり消したりできるよ」とアドバイスしたら、次に行った時にはミニ黒板を使って授業をしていました。計算のフラッシュカードなども取り入れてくれ、支援のしがいがあります。
最初は学級目標を子どもたちの願いから考えることから始めました。幸い教室が共用でないので、入り口の脇に大きく掲示してあります。教室に入った時に、子どもたぼそっとその言葉を諳んじているのを見ると「しめしめ」、、いや、「よしよし!」と思います。
みんなの願いを実現するのが、教室です。
教室をきれいに使おうということなどを教え、ゴミを床に捨てない、掃除をする等々、、
現在は隣りの幼稚園の楽しそうなオベンキョウの声と、裏手のカンチャ(運動場)からの音楽がうるさく、中々集中して取り組むというのは難しい状況ですが、その悪条件を差し引いても学級経営はかなりうまくいってるんじゃないかなと感じます。
ですので、学級経営と並行して授業改善も進めています。模範授業というかたちで算数の授業をもたせてもらっています。3年生ですが、掛け算の意味を理解していない(教わっていない)ので、お皿にのった果物の数に始まり、掛け算の意味を考えることから始めて、、考える授業に慣れていないせいか、当然日本と同じような流れにはなりません。でも、
具体的な物で問題を提示 → 問題文 → 図に表す → 立式 → 計算 → 答え
日本のやり方を伝えるのが責務ですが、そのやり方がここの子どもたちに思考に添うかどうか、そして現地の社会にフィットするものかどうか、頭を悩ませるところです。。
ですが、この一連の流れを通して、計算の技術を身につけるということ以外の力を育みたいと思考錯誤しています。だって九九はおろか、繰り上がりのある足し算も数えなきゃできないのに、計算の方法だけ機械的に学んでいってもイミがないのですから。
それは機械にだってできることです。人間にしかできない力を育んでいくことが大切です。もちろん、技術と思考はバランスの問題です。
授業は一番やりがいがある、と感じる半面、難しさも日々実感しています。毎日授業をやっている人たちはやっぱりすごいなぁ。
ここの子どもたちは、市街地のはずれにあるせいか、人懐っこいボリビアっ子に輪をかけて、さらに人懐っこいです。遠くからでも姿を見つけると、わーっと走ってきて歓迎してくれます。他の学校でも似たような雰囲気はあるのですけど、ここは特につよいです。「わーめずらしーガイジンがきたぞー」みたいな感じなんでしょうきっとw
以前ここの学校でも活動を行っていた病院勤務の先輩隊員が、特に印象に残っているといっていました。子どもたちも彼女のことを覚えていました。
そういう過去とのいいつながりがあるから、こうやって今のやりやすさがあるんだぁと改めて感じます。もちろん逆の場合だってあるでしょうから、僕の任地はかなりいい関係を築いてきたと言えます。
そういうバトンは、しっかりと受け継ぎ、つないでいきたいものです。
活動については、継続してお伝えしていきます。