エンコナーダ小学校2年生。かけ算の授業をしました。
この日、ガラスの少年ホスゥェはお休みでした。残念。。
エンコナーダ小学校で巡回しているもう一つのクラスがこの2年生だ。
一番最初に校長先生に、「助けを必要としているクラスはどこですか」と聞いたところ、紹介されたのが7年生の他にこの教室。どうやら何人かの男の子たちに手をやいているとのこと。
初めて訪れた時、国語の授業で疑問符の使い方を教えていたのだが、いきなり文章を作らせていたので子供たちが四苦八苦していた。条件を限定すること。例えば先生に質問するとか、友達に聞きたいこととか、具体的な場面をイメージさせてあげると活動が深まるよと助言した。
そうすると、次回には、互いに質問しあうようなインタビュー形式になっていて、PROMECAっぽい(児童が主体の授業)なぁと感心したり。先生には学ぶ意欲がある。
担任の先生は穏やかで低学年向きそう。子どもたちも一生懸命勉強している。
うーん。特に問題はないように思えるが、、
でも、問題は教室の中にはなかった。彼女の抱える問題は教室の外にあった、いや、居た。
誰かずっと教室の中をのぞいている子がいるなぁ、、とは思っていた。
でも身体も大きいし、他クラスの子が授業中に通りかってのぞきこんでいるなんて珍しいことではないので、特に気に留めていなかった。
でも彼、ホスゥェ(ホセではなくホスゥェと発音しないとだめだしされる)はこのクラスの一員だった。。
しかも先生の前の特等席だ。
「あっキミ2年生だったの、、!?」給食をもらう列に並んだ時に初めて気づいた、、
どうやら離席・離室が著しい彼、そしてそれに同調しつられる男子たちに手をやいていているということだった。
ホスゥェは勉強だけでなく、友達との関係作りにも課題を抱えているらしい。
現在10歳の彼はフクザツな事情を抱えている。サンタクルスからの転校生で、幼稚園に通っておらず2年ほど留年している。ざっと聞いたがここにはとても書けない。でも彼の課題はもっと先天的(後天的なハンデの可能性もあるが)なものではないかと感じている。
これは特別支援の分野になってくる。
教室での全く授業に参加していなかったので理由を聞くと、、「鉛筆を忘れた」
「なるほど」
「特別だよ」と言って、がんばるように告げ貸してあげる。
おぉいいぞ!やってるやってる。自分なりにがんばっているところをすかさずほめる。
でもその後、先生にしかられ意気消沈、、やる気も散逸。残念。。
休み時間が終わっても帰ってこないので探しにいくと、外でガラス玉を使って数人でおはじきのようなゲームをしている。注意を促すと友達は教室に戻ったのに彼は1年生を捕まえて離さない。
1年生の子に「もう勉強の時間だから教室に戻ろうね」と話しかけ続けると、理解し教室に帰っていった。でもホスゥェはその場を動くことができない。
「どうしてここにいたいの、、?」
「ビー玉で遊びたい」
「もう休み時間は終わったよ」
「でも、ビー玉で遊びたい」
「教室に戻らないといけないよ」
「でも、、遊びたい」
困ったような微笑みを浮かべながら答える彼。その場を動くことができない。
待ってみるか、、
こういう時は、先生がフツウしなそうなことをやってみる。
他の先生だったら注意して叱るだろうから、あえて黙って見守ってみる。
一緒に遊んでみる。
教室に戻るように誘ってみる。
彼は動くことができない。
教室に報告に行く間、ちょっとほうっておいてみると、彼は1年生を捕まえて遊んでいた。
これはいかんなぁ。。
手を引き教室の前まで連れていく。以外と抵抗しない。なぜだ。
先生に声をかけられ教室へ。
すると突然、、、ホスゥェの目から大粒の涙が、、!?
やばい、、ちょっと怖かったかな、、それとも引っ張るのが強かったか、、理由を聞いてみる。
「どうして泣いているの?」
「ビー玉で遊びたかった、、(泣)。」
「他の理由はないの?」
「ビー玉で遊びたかった、、(号泣)。。」
ふつう2年生は「遊びたかった」が理由では泣かない。
あまりにも純粋に答えたので、少し狼狽えてしまった。。
しかしその5分後、何事もなかったかのように、また普通に接してくる彼。
先日訪れた時、学校の入り口の金網を号泣しながら蹴り続けていた。朝っぱらからガラスのハートが砕けちまったんだね。いやむしろ理由なき反抗であったかもしれない。その後、お父さんらしき人と話している姿を目撃したが、ここは踏み込めない領域だろう。
担任の先生とは放課後、特別支援の概念と今後の支援について話し合った。
・まず最初に彼の問題行動は、先生の指導に問題があるからではないこと。
・一人ひとりに個性があるように、彼の抱える課題も個性であるということ。成長のスピードや方向性が違うというだけのこと。それ故、個別に対応していく必要性があること。
・教室で座り続けることが難しいのなら、気分転換に離室することも許可していい。ただし、先生の許可を得ることと、周りの子と一緒にいかないことを指導するということ。
彼を支えてあげられるのは、担任の先生しかいない。でも、一人で全てをカバーするのは不可能だ。もしこのままいけば留年は確実、、。もう後はない。
もし共に進級すれば、彼の成長がゆっくりであったとしても周りの子が成長する。その分、彼を支えてあげることができる。でも、もう一度2年生だったら周りの支えも理解も十分には得られないだろう。これも落第制度の弊害である。
彼との関わりを通して、周りを成長させるということ。これも教育なのではないか。
そして、学校全体の理解と協力体制が不可欠である。校長先生とも相談し、各学級の課題について共通理解を図れるようにお願いをした。
子どもの成長にとって最善の方法を。そのための学校であってほしい。
現在は学級経営と学習指導の両面から、支援を行っている。
算数の模範授業、教室の環境整備、休み時間は全力で遊んでいる。
そしてやっぱり頑張りをほめまくり。
今日7年生と遊んでいたら、遠くから名前を呼びながら走ってきて、プロフェーと抱き着いてくる。やっぱりかわいいなぁ。
ガラスのハートを持つ少年ホスゥェもやってきた。ビー玉のような目を輝かせて憎らしいほどの天使の微笑。
また突然泣かれたとしても、やっぱ憎めないんだろうなぁ
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