20131022

羊飼いの少女






































遠く丘の上の空との境目、一途に草を食む羊たちが視界に入る











「こんにちは。こんなところで何をしているんだい、、、?」





「朝からずっと外で過ごしているんだよ」


「もう日が傾いてきたから、お家に帰るところなの」





「君たちはどこの住んでいるの、、?」





「あっち」




「どこ?」





「もっとずーっと向こうの方」





「それにしてもここは、ずいぶんと景色のいいところだね」





「もちろん、ここは世界で一番美しいところだから」






「日本人に会うことはある、、?」





「日本?どこにあるの?」





「ここからは地球の反対側、美しい島なんだ」





「この島と一緒だね」





「そうだ、折り紙って知ってる、、?」










太陽の島"Isla del Sol"


青く澄んだ母なるラゴに浮かぶ島


音の無い砂浜に、穏やかで滑らかな波が打ち寄せる


子豚や子やぎがやさしく草を食む光景を


荒野に立つもの言わぬ野犬や羊の群れを


もう会うことはないだろう人たちのことを


もう訪れることはないかもしれない美しい景色を





秋の夜長にふと思い出す





そういう幾多の景色を通り過ぎ、心の風景となっていること

描いてきた軌跡が、今につながっていること







星の巡礼者達は、今日も荒野を辿り、道を拓く








手を振りながら、丘の向こう側へと少女たちは消えていった









「 世界全体が幸せにならないうちは、個人の幸福はありえない 」





なんて、宮沢賢治のように純粋な精神は、もはや持ち得ない僕だけど


この子たちが今日も幸せであるのなら、

世の中にはまだ希望が灯っていると言えるんじゃないか




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