20110709

冬期逅愁

            エンコナーダ小学校での冬期講習の様子。4・5・7・8年の6名。
             課題別のプリントを用意して、個別指導を行いました。




冬真っ盛りの南半球。

と、言っても今日は「これで冬か?」というほどの陽気。

日本で言ったら、「まだ5月だけど、今日は夏みたいに暑いねー半ソデでいけるわー」ぐらいの感じで差し支えないと思います。

で、何はともあれ"vacaciòn"、2週間の冬休みを迎えたわけです。

英語なら”バケーション!”ですが、スペイン語だと”バカシオン~!”になり、ちょっと語感があれですけど、まあまあ。みんなバカしよるわけです。


そんな中、冬休みに補習授業をやりたいなぁと先生方に相談していました。

ところが、、子どもは多分来ないよ、とのこと。
どうやら長期休業に入ると、農作業に借り出されしばらく帰ってこないということらしいです。

最後の巡回日の午後にやろう、ということに決まっていたのですが当日、校長先生の一存で「今日はやめて休み中にやろう」ということになりました。内容は算数をメインに日本文化紹介、及びレク的な活動。

で、ふたを開けると、初回、7・8年生からの6名。先生だけでなく、村人誰もいない、、まるで正月の朝のような閑散とした風景。



冬期乞集。。


教室で聞いた時は、けっこうみんな参加したいと声を上げていたが、、呼びかけを全て託してしまったから仕方がない。

ただ、それだけの障害(?)をくぐり抜けて参加するだけあって、全員意欲は高い。

7・8年生へのリサーチ結果から、「分数」の習熟にしぼり教材を作成した。
1日目はつまづき調査ということで、すべてを網羅したプリントを課してみる。


うーん、できない。。実態をまとめると以下のようになる。
(〇…できること、△…できないこと・課題)

〇同分母の足し算・引き算はできる。
△掛け算・割り算については、方法は知っているものの、習熟が足りない。
△約分、通分ができない。故に異分母どうしの計算、帯分数の混ざった計算ができない。
△分数を表す面積図が描けない。逆に面積図を分数に表すことができない。
〇集中して問題に取り組むことができる。


要するに、計算の方法は知っていて、簡単な計算ならできるということ。

しかし、分数を足すという意味を彼らは理解していなかった。

それはただのパズルの解き方を教わっているようなもので、計算の方法のみを教わっているだけということ。分数という概念がすっぽりと抜け落ちている。



冬期抗習!!


一日目。面積図を使って見せたり描いたりしながら、分数の意味を考える。

「やればできんじゃん!」一日目にしてほぼ理解できたようである。

彼らはできないのではない。「教わっていない=経験がない」のである。



問題の解き方だけでなく、考え方や図などを盛り込んで自分で考えられるようなプリントを作り、個別に課題を与えて進めていった。KUMON式というやつでしょうか。

6人(やる気のある)という人数もちょうどよかった。
一人ひとりの進度を見ながら、丁寧に教えることができる。
その場で丸付け、つまづいたところはヒントを与え自力で解かせる。

そして、とにかく褒める。できたことを褒める。花マル、70/70(日本の100点満点)を連発!!


教える対象は少なかったが、教えるということの繊細な作業を改めて顧みることができた。



これは確実に学力もやる気ものびるだろうなぁ。


7年生在籍の留年組のミルトンがこう言っていた。

「もう留年はしたくない」

彼はけっこうできが良かった。飲み込みも早い。留年した理由は先生との関係がうまくいかなかったかららしい。

メンバーの入れ替わりはあったが、人数は横ばい。

7・8年生の参加者については、クラスの起爆剤となって欲しい。

ミルトン!ミリアン!お前たちがクラスを変えるんだ、、!!
そして、無事に過程を終了。



冬期幸修♪


何よりものんびりした空気がよかった。こんな感じで先生やっていくのもいいなぁ。

「明日は何時から?」

「もう一つ奥の集落に行くよ、、」

「じゃあ次は月曜日?」

「いや、ラパスに行くから、、」

できることの喜びは、学ぶ意欲を刺激するらしい。


他の学級ではたくさんの子どもたちに囲まれて、歓迎されて、大騒ぎで、ギアはいつもトップにいれていた半年間。

穏やかに子どもたちと向き合えたことが最大の収穫。

これを子どもの口から先生に伝えたい。


7年生の畑に水を撒く。
冬を感じさせない穏やかな風が、誰もいない校庭を吹き抜けていく。

いや、待てよ。。このまま枯れてしまって水やりのタイセツさを学ぶのも悪くないなぁ、、あえてこのままにしておこうかな。。

児童一人ひとりと向き合う。みな当たり前のように口にするが、実はすごく難しいこと。30人40人と向き合っていたら、それは物理的に不可能だ。

でも方法はある。一日は24時間で平等だけど、それを実現する方法はある。




さて、帰り道。

バカシオンということもあってか、通りも閑散としている。ていうか誰もいない。
タクシーが来ない。タクシーが来ても乗客がいない。出発しない。帰れない。

そうさ、時間はたっぷりある。

何も急ぐ必要はない。

毎日そんな感じの昼下がり。


冬期逅愁。


初秋のような穏やかな陽が、木漏れ日となってさらさらとそそぐ。

もう1年。まだ1年。

あの人に手紙でも書こうかな、、

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